ビタミン・サンシャイン!

通常、日光によって皮膚から吸収合成されるビタミンD。ライフスタイルの変化に伴って、太陽の光をほぼ浴びることなく屋内で過ごす人が世界中で増えていることもあり、その大切さが今まで以上に問われるようになっています。

ビタミンDは、「ビタミン」と名がつくものの、実のところビタミンではなく、体内でホルモン的な役割を持つ物質です(1)。骨や循環器系の健康に欠かせないことはもちろん、活性型ビタミンDへの変換機能を持つ組織やレセプター(受容体)が体内のあらゆる部分に分布し、ビタミンDが幅広く必要とされることを物語っています(1,2)。防御システムとして知られる、免疫機能とも深い関係にあり、ビタミンDが不足すると、風邪やその他の感染症、自己免疫疾患やがんなどのリスクを上げることでも知られています(2)。また、神経伝達物質のドーパミンや、エストロゲン代謝とも関係するため、代謝経路中で必要とされるビタミンDが不足すれば、エストロゲン代謝を滞らせるだけでなく、鬱や気分障害などを悪化させる原因にもなりかねません。冬に気分が沈み気味となるのは、日照時間が短く視神系を伝って脳を刺激する光の量が少なくなることに加え、日光によるビタミンD合成が十分にできないことも関係しているようです(3)。

私たちのからだは、太陽の光からビタミンDが合成できるようにプログラムされているので、日光浴で適度を補うのが最も理想的だといえるでしょう。一般的には、夏を中心に正午前後の時間帯に15分程の日光浴(顔・首・両腕・足少々)が勧められています。 一定のビタミンD合成に必要な日光浴の推奨時間は人種によって幅があり、特に北欧系で肌の色の薄い人なら10分以下、アフリカやアジア系で肌の色が濃い人なら30分程度と大きく異なります。日頃の食事からもビタミンDは摂取できますが、含有量が低いため必要摂取量を通常の食事のみで補うのは不可能です(例えば、1日に鯖を80匹以上食べないと必要量が摂取できないなど)。紫外線からのビタミンD合成が全体の約80%を補っているのに対し、食事による摂取は20%程度と考えられています(4)。主なビタミンD含有食品は、動物性では鮭や鯖など脂ののった魚、レバーや卵黄などに加え、植物性ではキノコ類など(5)。

日照時間の長い夏に皮膚合成された余分は、冬に向けての貯蓄分となります。夏の間にそれがある程度確保できないと、冬の体調や免疫力に影響する可能性が高くなるため、欧米ではビタミンDサプリメントの使用が一般化しています。日本で行われた調査では、日本人のビタミンD欠乏や不足が確認され、調査対象となったほとんどの人にビタミンD摂取と紫外線による皮膚合成を増やす必要があるだろうという結果となっています(6)。特に若い世代や女性の(日焼け止め各種の使用で)ビタミンD値が低かったようです。また、同調査では、日本のビタミンDサプリメント使用者は人口の約10%〜30%と推定され、サプリメントによるビタミンD摂取は一般的ではないとしていました。ちなみに、ビタミンDサプリメントは、骨の健康サポートと血中のカルシウムによる動脈硬化を予防する目的で、ビタミンK2(MK7)との併用(または、MK7含有食品として日頃の納豆摂取)がお勧めです(1)。

by ナチュロパシー・ジャパン/ゆり子

 

参照:

  1. Kidd, P. (2010). ‘Vitamins D and K as Pleiotropic Nutrients: Clinical Importance to the Skeletal and Cardiovascular Systems and Preliminary Evidence for Synergy’, Alternative Medicine Review, 15(3);199-222.
  2. Holick, M. (2016). ‘Biological Effects of Sunlight, Ultraviolet Radiation, Visible Light, Infrared Radiation and Vitamin D for Health’, Anticancer Research, 36:1345-1356.
  3. Penckofer S, et al. (2010). ‘Vitamin D abd Depression: Where is all the Sunshine?’. Issuse Ment Health Nurs, 31(6):385-393. doi:10.3109/01612840903437657.
  4. Sassi F, Tamone C, and D’Amelio P. (2018). ‘Vitamin D: Nutrient, Hormone, and Immunomodulator’. Nutrients, 10(1656).
  5. Carlberg, C. (2019). ‘Nutrigenomics of Vitamin D’, Nutrients, 11(676). doi:10.3390/nu11030676.
  6. Asakura K, et al. (2020). ‘Vitamin D Status in Japanese Adults: Relationship of Serum 25-Hydroxyvitamin D with Simultaneously Measured Dietary Vitamin D In take and Ultraviolet ray Exposure’, Nutrients, 12(743). doi:10.3390/nu12030743.