魔法の薬?CBD

最近目にすることが多くなったCBD(カンナビジオール)は、うつ、PTSD、不安症、アディクションといったメンタルヘルスに関係する症状の改善や、慢性を含む各種痛みの緩和、がん治療の副作用緩和、てんかんの症状の抑制、抗炎症作用などその効果は多岐にわたり(1)、何だか「魔法の薬」のようです。紀元前から存在する植物である麻から抽出したこの成分が、どのように私たちの健康に作用するのでしょうか。

薬用植物の麻には、テルペン、フラボノイド、フェノールなどの500以上の植物性化合物が含まれています。そのなかで、生理活性物質に属し、100種類以上存在するカンナビノイドの成分中、主にカンナビジオールが抽出されてCBD製品に使われています。これらのカンナビノイドのなかでも、テトラヒドロカンナビノール(THC)には 、効果的な薬効成分であっても向精神作用があるため、医療品やサプリメントにおける含有量が規制されていますが、その基準は国や地域によって異なります。一般的なサプリメントでは、CBDに加え、麻に含まれるテルペンなどの他の化合物が、自然に存在する形同様に多く含まれているほど、相乗効果を発揮し、健康への高い効果を有するといわれています。イギリス国内で、医療大麻薬品として2010年に使用が認可されたサティヴェックス(Sativex)*は、CBDとTHCのみを抽出し、1:1の割合で精製された薬品です(2)。

これは他のハーブにもいえることですが、植物由来の成分から薬品を製造する場合、薬効効果のある単一成分を特定、抽出し、その有効性や安全性が確認されなければ、認可を受けることができません。そのため、植物が完璧なバランスで自然に持ち備えるその他有効成分との相乗効果、いわゆるエントラージュ効果はほぼ失われた状態となります。

健康への効果が証明され、各方面で実用化している麻由来の植物性カンナビノイドですが、人間や動物は、このカンナビノイドを体内で生成しており(内因性カンナビノイド)、なんらかのストレスで欠乏すると、様々な症状が引き起こされるといわれています(3)。

エンドカンナビノイド・システム(4)は、内因性のカンナビノイドとそのレセプターを内包する体内のシステムで、心身の恒常性(ホメオスタシス)を始め、消化、免疫、感情・記憶・認知など、様々な機能を司っています。このレセプターは神経系や免疫系細胞を中心に、全身に分布しています。このことから、CBDのサプリメントを摂取することで、多くの症状を緩和させたり、健康を向上させたりと、その効果がレセプターの分布に沿って多岐にわたるため、全てに効果がある万能薬のような印象を与えることもあります。

エンドカンナビノイド・システムの発見は比較的新しく(5)、これからさらに私たちの健康とのつながりが解明されていく分野だといえます。また、CBDサプリメントは、ここ数年で急成長している分野ですが、実際の臨床例が少なく処方に関するガイドラインが確立されておらず、また、その品質や実際のCBD含有量、管理体制などにも大きな幅があります。実際にどのように選べば良いのかなど、次回の記事でご紹介します。

by ナチュロパシー・ジャパン/麻実

 

*2019年現在、日本では未認可。

参照:

  1. Baron, E. (2018). ‘Medicinal Properties of Cannabinoids, Terpenes, and Flavonoids in Cannabis, and Benefits in Migraine, Headache, and Pain: An Update on Current Evidence and Cannabis Science’, Headache: The Journal of Head and Face Pain, 58(7), pp.1139-1186.
  2. org. (2019). Welcome To The Academy Of Medical Cannabis. Available at: https://taomc.org/en/ (Accessed: 10 August 2019).
  3. Russo, E. (2016). ‘Clinical Endocannabinoid Deficiency Reconsidered: Current Research Supports the Theory in Migraine, Fibromyalgia, Irritable Bowel, and Other Treatment-Resistant Syndromes’, Cannabis and Cannabinoid Research, 1(1):154-165.
  4. Lu, H. and Mackie, K. (2016). ‘An Introduction to the Endogenous Cannabinoid System’, Biological Psychiatry, 79(7):516-525.
  5. Di Marzo, V. (2006). ‘A brief history of cannabinoid and endocannabinoid pharmacology as inspired by the work of British scientists’