マドリッドのトレンド

スペインでは、栄養士のカルロス・リオス(Carlos Ríos)が出版した、『Come Comida Real(本物を食べよう・未翻訳)』がベストセラーになり、彼が提唱するリアルフーディング・ムーヴメントがちょっとした話題となっています。リアルフーディングとは、食品を、野菜や果物、化学薬品などで処理されていない精肉などの、「リアル・フード」、保存料や添加物を使わない「グッド・プロセス・フード」、一般的な加工食品の「ウルトラ・プロセス・フード」に分類し、ウルトラ・プロセス・フードを避け、加工食品を全体の10%までにとどめようとするもので(1)、至ってシンプルです。120万人以上がフォローする彼のインスタグラムでは、新鮮な食材を使ったレシピが数多く紹介されています(2)。

なぜいまスペインでこのようなトレンドがあるのでしょうか。
スペインの食生活、というと、数あるヘルシーな食事法のなかでもスター級の、地中海ダイエットを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。実は、スペインでも近年、肥満率が上昇しており、伝統的な地中海式の食事からは遠くなっているようです。そして、このままいくと、2030年には、スペイン国内の80%の男性、55%の女性が過体重になり、それに伴い、がんや循環器系の疾患、糖尿病などがさらに増加すると警鐘を鳴らす研究者もいます(3)。
このような流れのなか、改めてヘルシーな食生活やライフスタイルへの関心が高まっています。

そして、その「リアルフード」のトレンドを牽引しているのが、マドリッドを拠点に広く展開している「Honest Greens(オネスト・グリーンズ)」というレストラン。マドリッドに4軒、バルセロナに1軒、ポルトガルのリスボンにも1軒支店があります。メニューの90%がプラント・ベースですが、エシカル・ソースの肉や魚のオプションも充実しています。生産者と直接契約し、その地域コミュニティの発展や、環境に配慮した消費を約束しているのも素晴らしいところ。色とりどりの新鮮な野菜、ロースト野菜、ビーン・サラダなどに目を奪われます。このサラダ各種からと、魚、肉、もしくは豆腐やファラフェルなどの植物性タンパク質の中から好きなものを選び、自分だけのプレートをオーダーできます。野菜をふんだんに使ったサイド・ディッシュも充実しており、目移りしてしまうこと必至です。
この日訪れたマドリットのHortaleza(ホルタレサ)店では、併設のカフェにて、砂糖不使用のロー・ヴィーガン・ケーキなどのデザート類も楽しめ、そちらも人気のようす。値段も手頃なので、いつ行ってもたくさんの人で賑わっています。

 

マドリッドではまだレアな広々とした店内。各種のワークショップ、癒やしのスペースも常設されています。

「リアル」のトレンドは、食だけでなく、スキンケアやコスメティックの分野にも広がっているようです。オーガニックで、エシカルがコンセプトのセレクト・ショップ、「La Manzana(ラ・マンサナ。スペイン語でリンゴの意)」では、スペイン国内のオーガニック・スキンケア商品を多く扱っています。とても広く、ゆっくりと見て回ることのできる店内では、ハーブを使ったスキンケアのワークショップなども行われています。自分の肌だけでなく、環境も同時に保護するというコンセプトに基づいた製品への注目が、年々高まっています。デザインもなかなかのもの。スペイン国内のみで入手可能なブランドも多いので、ここでまだあまり知られていない自分だけのお気に入りを探すのも楽しいのでは。

以前に比べ、ヘルシーでエシカルな食事やカフェ、ショッピングの選択肢が格段に増えたマドリッド、次のホリデーにぜひ訪れてみてください。

by ナチュロパシー・ジャパン/麻実

 

Honest Greens: https://honestgreens.com/en/our-restaurants-2/
La Manzana: https://instagram.com/lamanzanamadrid?igshid=1md730wtsntfq

参照:

• Ríos, C. (2019). Come Comida Real. 1st ed. Barcelona: Paidós, pp.23-24.
• https://instagram.com/realfooding?igshid=scf8fmwyzv6t
• Mouzo, J. (2019). ‘80% Of Men And 55% Of Women In Spain Will Be Overweight By 2030: Study’, EL PAÍS. [Online] Available at: https://english.elpais.com/elpais/2019/01/10/inenglish/1547131751_501777.html> (Accessed 1 May 2019).