「快眠」という名の万能薬

ぐっすり眠ってからだを休めることは、何よりもの自然薬だと実感している人が多いのではないでしょうか。その反面、理想的な眠りを得ている人は、案外少ないこという統計が出ています(1,2)。単なる夜更かし的な寝不足はもちろん、浅く断片的な眠りや寝つきが悪いなどの睡眠障害は、判断力や集中力の低下をはじめ、長期では各種の体調不良へと導くので注意が必要です(1,3) 。

睡眠中などの深い休息時のみに、からだの修復や再生が行われます。そのため、良質の眠りは健康に必要不可欠の要素となります。私たちは、脳からの指令で制御される機能を多く持つため、寝不足になると、頭がぼっとするだけにはとどまりません。ある調査では、睡眠時間6時間かそれ以下の人が風邪ウイルスにさらされた場合、睡眠時間7時間かそれ以上の人に比べて、4.2倍風邪を引きやすいという結果が出ています(4)。このデータに基づくなら、7時間以上の睡眠が免疫力維持の目安になるでしょう。また、寝不足が甘いものへの欲求を引き上げることなども含め(2)、肥満や二型糖尿病など、現代病リスクと寝不足との関係も疑われています(1,5)。これらを合わせると、快眠は、脳機能や免疫力を助けると同時に、砂糖依存を抑えて肥満や代謝機能低下防止を助けるということになり、まさに万能薬。

ナチュロパシーの一部には「ナチュラル・ハイジーン(自然衛生)」と呼ばれるカテゴリーがあり、眠りの状態や環境は「スリープ・ハイジーン」として、その一つに数えられます。快眠に必要な要素は、第一に、寝室が眠りに理想的な環境であること。光や雑音に加え電磁波や温度など各種の外的要素が眠りのクオリティを左右するため、これらへの気配りは大切です。第二に、就寝に向けて眠りに適した自律神経のコントロールが行われていること。夕方以降も、交感神経優位のままでは、眠りに必要なメラトニン合成が十分に行われず、睡眠障害の原因となります。これには心理的ストレス、夕方以降の激しい運動、炎症を促しやすい体内環境などが関係します。そして第三の要素として、就寝時間に眠りの準備ができていること。遅い時間の夕食や暴飲暴食は、睡眠中にも消化機能のフル稼働が続き眠りを浅くします。また、就寝前までタブレットや携帯のスクリーン見て脳が活性化されると、からだは睡眠モードに入りづらい状態となります。

一般的に理想とされる成人の睡眠時間は、8時間前後。個人のベストには開きがあるので、最も体調が整う就寝/睡眠時間を、各自で把握する必要があります。今日の睡眠不足が明日の命を脅かすということはまずないものの、慢性化するにつれて発病のリスクは高くなります。もし時間を作るために睡眠時間を削りがちなら、睡眠時間優先でスケジュール調整を行ってはいかがでしょうか。心身ともの充電に加え、快眠によって得られるクリアな思考力は、効率よく物事を進める大きな助けとなるでしょう。

by ナチュロパシー・ジャパン/ゆり子

 

参照:

  1. Chattu V, et al. (2019). ‘The Global Problem of Insufficient Sleep and Its Serious Public Health Implications‘, Healthcare, 7(1):1. doi:10.3390/healthcare7010001
  2. Szczygiel EJ, Cho S and Tucker RM. (2019). ‘Multiple Dimensions of Sweet Taste Perception Altered after Sleep Curtailment’, Nutrients, 11(2015). doi:10.3390/nu11092015
  3. Galano A, Tan D, and Reiter R. (2018). ‘Melatonin: A Versatile Protector against Oxidative DNA Damage’, Molecules, 23(530). doi:10.3390/molecules23030530
  4. Prather A, Janichi-Deverts D, Hall M, and Cohen S. (2015). ‘Behaviorally Assessed Sleep and Susceptibility to the Common Cold’, Sleep, 38(9):1353-1359. doi:10.5665/sleep.4968
  5. Reid K, et al. (2014). ‘Timing and Intensity of Light Correlate with Body Weight in Adults’, PLoS ONE, 9(4). doi:10.1371/journal.pone.0092251