カビの症状と対策

カビは、空気中も含めてあらゆるところに存在するため、完璧に避けるのは不可能です。カビによる人体への影響は、主に、屋内環境と食品ルートの二種類に分けられます。

過去に水漏れや洪水などの水害にあった建物にはカビが繁殖しやすく、スタキボトリス種を中心に、真菌感染やカビ毒(マイコトキシン:真菌特有の二次代謝物に対する総称で、微量でも毒性が強い)による症状を伴う原因となります(1)。カビは探して見つかるところにいるとは限らないため、気づかないまま体調不良の引き金を引くケースは少なくありません。喘息や息切れなど呼吸器の問題、慢性疲労や頭痛、皮膚疾患などが典型的な症状です(1,2)

もし、屋内にカビが見つかれば、即対処するのが理想的です。特に窓やドアに隙間がなく、屋内の空気があまり動かないなら、定期的に窓を開けて換気を行いましょう。湿気くさい部屋は、カビが見当たらなくても、壁裏や床下などの見えない場所で繁殖しているサインです。カビは定期的に大量の胞子を空気中に飛ばすため、こまめな掃除と、強力なフィルター・システムを備えた空気清浄機の使用が有効です。また、柑橘系などのエッセンシャル・オイル使用で、空気の殺菌がある程度できます。もし、これらの対処法で症状の改善が見られないなら、真菌感染に関する知識や臨床例を持っている医師や専門家のチェックと指導を受けることが、安全かつ確実なカビ対策法になるでしょう。

食品ルートでは、特にフサリウム種のカビ毒、トリコテシンなどが問題視されています。カビ感染で麦などの植物が成長の過程で病気になり、穀類にカビ毒が付着します。カビ毒は、発がん性をはじめ、臓器や遺伝子へのダメージが懸念される物質として、それを食べる家畜や人間の健康を脅かします(3)。ピーナッツやナッツ類への付着で知られる、カビ毒のアフラトキシンは、アスペルギルス種によるもの(1)、そして、トウモロコシや小麦などの穀類に付着する、ジーラレノンと呼ばれるカビ毒は、フサリウム種によるものです。ジーラレノンはマイコエストロゲンとも呼ばれ、乳がんや子宮筋腫など、ホルモン・バランスの崩れによる疾患に加担する、環境ホルモンの一種として知られています(4)。食品から検出されるカビ毒の許容基準値は国や地域によって異なりますが、調べれば簡単に情報が得られると思います。例えば、EUで2003年に行われた調査では、5,018の穀類混合サンプルのうち32%からジーラレノンが検出されています(5)。規制の緩い地域にお住まいの場合には、カビ毒含有率の高いこれらの食品を極力避けることが、安全な食品選びにつながるといえるでしょう。

カビの種類と個人の遺伝情報や体質などの違いで、症状や重度には大きな違いが見られます。一般の医療システムでは、各症状に対する直接的な処置が個別に取られるため、問題の発端がカビやカビ毒だということを突き止めるまで、何年もの間、原因不明のミステリアスな症状を患う人も少なくないようです。 例えば、物に触れた際、よく手に静電気を帯びていることも、真菌感染のサインとして有効な情報となります。「もしかしたら?」と思い当たる方は、カビ関連の可能性を原因究明の視野に加えることで、症状改善への大きな手がかりが得られるかもしれません。

by ナチュロパシー・ジャパン/ゆり子

 

参照:

  1. Bennett J and Klich M. (2003). ‘Mycotoxins’, Clinical Microbiology Reviews, 16(3):497-516. doi: 10.1128/CMR.16.3497-516.2003
  2. Rosenblum Lichtenstein JH, et al. (2015). ‘Environmental Mold and Mycotoxin Exposures Elicit Specific Cytokine an Chemokine Responses’, Plos One, 10(5). doi:10.1371/journal.pone.0126926
  3. Foroud N, et al. (2019). ‘Trichothecenes in Cereal Grains – An Update’, Toxins, 11:634. doi:10.3390/toxins11110634
  4. Hueza I, et al. (2014). ‘Zearalenone, an Estrogenic Mycotoxin, Is an Immunotoxic Compound’, Toxins, 6(3):1080-1095. doi:10.3390/toxins6031080
  5. European Commission. (2003). ‘Reports tasks for scientific cooperation; Collection of occurrence data of Fusarium toxins in food and assessment of dietary intake by the population of EU Member States’ [Online] Available at: https://ec.europa.eu/food/safety/chemical_safety/contaminants/catalogue/fusarium_en (Accessed: 3 July 2019)